2021.01.13 号
2021.01.13 号
人によって、心の支えになるものは、全くそれぞれ異なるのでしょう。
まして、それが音楽だとしても、「ではどういう音楽か」となると、また人それぞれです。
新年が始まりました。
いつもは、この「Happy Toco Club 通信」は満月の日にお送りしておりますが、年始のご挨拶と、2月7日に開催予定の新年最初のLiveのご案内をかねて、今回は、新月の日にお届けします。
昨年は、非常に大変な一年でしたが、「Happy Toco S Club」へご賛同くださったみなさまに支えていただき、音楽を続けることができました。
ほんとうにありがとうございました。
今年も、情勢によって、どうなるか分からないところもありますが、さまざまな試みをしてまいりたいと思っております。
まずは「Happy Toco のHappy 福袋」を旧正月のころにご用意したいと考えておりますので、次号をお楽しみになさってください。
2月7日は、干支にちなみ「牛」にまつわる楽曲と、榊原光裕のオリジナル曲を中心に、演奏いたします。
ご予約をお待ちしております。
新曲探検
私たち Happy Toco は、演奏する新たな曲を探し求め続けている。
「新曲」と言っても、ヒットチャートに昇るような、リリースされたばかりの曲のことではない。あくまで、“自分たちにとって”の新曲であったり、(あくまで私たちにとって、であるが)“未踏”の世界の民族の曲であったりする。
そういった曲に出会うため、私たちは、図書館では様々な本を探し、ネットでは様々なサイトを読みこみ、ラジオではお気に入りの番組を聞き渡る。
どんな曲に「新しさ」を感じるかは、人それぞれ。 そこで私たちも、メンバーそれぞれが見つけ出した新曲を、情報交換し合いながら、自分たちのレパートリーとして取り込んでいる。
中でも、聡子さんは優秀な捜索隊員だ。そのアンテナの感度の良さ、大きさと幅広さ、そして「これ!」と思ったら、どんどん深みに手を伸ばし、専門家へ臆することなくコンタクトをとり、手紙やメールで交信し、時には直接面会に出かけ、思いもよらないような曲を見つけ出してくる。
最近で一番印象に残っているエピソードを紹介しよう。
聡子さんは、あるTV番組のエンディング・テーマとして流れる楽曲のアレンジに、心の琴線を震わした。 そこで、NHKの番組宛にメールを出し、幸いにも使用楽曲の情報を手に入れた。 今度はその編曲者、演奏者を探しあて、ホームページのお問い合わせフォームにメッセージを送った。そうしたら、その編曲者の奥様から、ご丁寧な返信をいただいた。曰く……
「夫も私も、そのような番組であの録音が流されているとはつゆ知らず、またそれに熱心に耳を傾けてくださっている方がいらっしゃるとは思ってもいず、佐藤様からのメールをとてもうれしく拝見いたしました。」
御本人のつゆ知らないところで番組のテーマが使われていることも意外だったが、さらに驚くべきことに、聡子さんのもとには、ご厚意で、編曲楽譜まで送られてきたのだった。
聡子さんが「優しいピアノのタッチも、1音1音の選ばれかたも、番組で取り上げられた人生の1ページ1ページを物語るかのような、彩りあふれる慈悲深いコードで、エンディングテーマというだけでなく、番組全体に、重要な役割を果たしている音楽!」と絶賛するとおり、巧妙な編曲がほどこされた楽譜は、丁寧に織り込まれたつづれ織り(タペストリー)のようでもある。見た目には美しいが、それを織るのには、職人の熟練された技が求められる。
ご本人から、(もちろんクレジットをそえつつ)演奏させていただく許可までいただいた。 この美しいアレンジを、皆さまにお届けできる日が、いつかやって来るだろう。
(光裕)
耳を澄まして
この年末年始はいかがお過ごしになられましたか?
私どもは、かわらず音楽三昧でした。
大晦日には、いつも楽しみにしているラジオ番組があります。
哲学者・黒崎政男さんとNHKアナウンサー・道谷眞平さんが和やかながらも示唆に富むトークを繰り広げ、蓄音機にも針にもこだわって、SPレコードの古き味わい深い音を聞かせてくださる番組『教授の大みそか 蓄音機&SPレコード特集』です。
今回は「スペイン風邪」と音楽、というテーマのコーナーもありました。
1918年(大正7年)から世界的に蔓延した「スペイン風邪」は、日本を含めた世界各地の音楽活動に、大きな影響を及ぼしていたのでした。
新劇運動を進め、劇団「芸術座」を起こした島村抱月と、その作品でいつも主役をつとめ劇中歌で声を披露した松井須磨子とのことは、ご存知のかたも多いかもしれません。
黒崎さんの語りで、須磨子がまずスペイン風邪にかかり、抱月が看病をしたところ、抱月にうつり、抱月のほうがあっけなく亡くなってしまい、心の支えを失った須磨子は、2か月後にみずから命を絶った、という悲しい結末をあらためて聞いたあとでは、SPレコード特有の音色もあいまって、『カチューシャの唄』の「わかれのつらさ」という歌詞が、いっそう切なく聴こえました。
グスターフ・ホルストの『惑星』もまた、スペイン風邪の影響のため、1918年に初演しようとしたものの、非公式で行うこととなり、1920年にようやく公式にお披露目されたというエピソードをもつことを初めて知りました。
ホルストといえば、まだ無名の音楽教師だった当時、その『惑星』を書きあげることをいっとき中断してまで、友人・山田耕筰の勧めで舞踊の道に進みヨーロッパでモダンダンサーになった、千田是也(伊藤圀夫)の兄でもある伊藤道郎のために、彼から教えられた日本のメロディをもとに『日本組曲』という作品を書いています。
SPレコードでかけられた、ホルスト本人の指揮による『惑星』の響きを聴いているうちに、日本だけでなくインドなどにも興味をもち東洋哲学に関心を深めたホルストにとって、東洋の文化は、人生哲学の核にさえなっていたにちがいない、と感じるところがありました。
コロナ禍のもと、不安になることもある日々ですが、ちょうど100年近く遡った過去の音にじっくりと耳を澄まして、さまざま思いをめぐらせるひとときは、何か研ぎ澄まされたような豊かな時間となりました。
Happy Tocoも、一つ一つの演奏の中で、お客さまに、「今」だけでも「ここ」だけでもなく、時空をこえた何かをあじわっていただけるよう、今年も、オリジナルのサウンドを奏でていきたいと思います。
(聡子)
いつもの事をいつものように、焦らずじっくりと
昨年は本当に人前での演奏が激減しました。
少人数のライブや配信など今まであまりやらなかった様々な方法を模索しながら演奏活動を続けました。
そんな中、自分でも映像編集や機材の勉強などをして将来の目標に向かってじっくり時間をかけられたのは良かったかもしれません。
今年もどのような状況になるかは分かりませんが、少しづつでも前に進めるように頑張っていこうと思います。
Happy Tocoとしても年内のライブ予定がいくつか決まっており、私は参加できないところもあるかもしれませんが、皆さんに楽しんで頂けるよう頑張っていきたいと思います。
(雅裕)
いつもの事をいつものように、焦らずじっくりと
昨年は本当に人前での演奏が激減しました。
少人数のライブや配信など今まであまりやらなかった様々な方法を模索しながら演奏活動を続けました。
そんな中、自分でも映像編集や機材の勉強などをして将来の目標に向かってじっくり時間をかけられたのは良かったかもしれません。
今年もどのような状況になるかは分かりませんが、少しづつでも前に進めるように頑張っていこうと思います。
Happy Tocoとしても年内のライブ予定がいくつか決まっており、私は参加できないところもあるかもしれませんが、皆さんに楽しんで頂けるよう頑張っていきたいと思います。
(雅裕)
事務局より
となりのえんがわLIVEシリーズの2月7日以降の日程も決まりましたのでご案内いたします。
5月30日、6月27日、8月22日、10月10日、11月28日と続きます。
ドラムス・岸川さんが参加できない回には、ベース・青木大志さんが出演くださることになっています。
どちらも、どうぞお楽しみに!
(みきねえ)