2021.02.27 号
2021.02.27 号
春にまつわる話題を耳にするようになりましたが、ステージのご依頼をいただいての演奏を生業としてきました私どもにとっては、厳しい冬が続いています。
先日、録音のために秋田に行きましたが、地元のかたがたのはなしによれば、勤務先から、県外の人間との接触は避けるように言われているとか。
施設でも、県外からの来訪者はお断り、というところも。
このような状況では、私どもがライフワークとしてきたことも含め、自主企画をすることは全て、しばらく諦めるほか、ありません。
一冊の本がライフラインになることも、一曲の演奏がライフラインになることも、あるのだと私どもはみずからの経験で信じておりますが(だからこそ、演奏を生業とする道を選んだ、とも言えるのです)、不要不急と言われれば、そうおっしゃるかたたちにとってはそうなのでしょう、それまでです。
昨春にご案内をいたしました「Happy Toco S Club」にご賛同くださった皆様には、心から感謝をしております。
おかげさまで、ステージのご依頼が入らない間も、練習や編曲をすることに時間をかけ、楽器をメンテナンスし、ご依頼があれば、またいつでも演奏に伺えるように日々精進することが、何とか出来ています。
何に希望をもってよいのか、そもそも希望をもっていてよいのか、分からなくなるときもありますが、もうすこし耐えてみたいと思っております。
新たな試み
人類が誕生するよりも遥かはるか昔から、生きものは存在した
いまだに腑に落ちない騒動が続く中、ようやく本格的に、インターネットでの配信を想定した、演奏の録画・録音を試みた。
昨年9月に秋田で開催したアラヤード・ピクニック(スピンオフ)の中で、ミニコンサートを行った空間をその場所に選んだ。
昨年12月には「Happy TocoとGod Jul」と題した各会のウェルカム演奏をした空間でもある。
感染対策のこともあり少人数でのコンサートだったが、お客様それぞれが、それぞれの聴き方で演奏を楽しんでいらっしゃる様子が印象的だった。
あの会場の雰囲気をお伝えすることができたら……という思いもあった。
今回は、これまでアレンジして演奏してきた曲の中から、バックトラック(いわゆる「打ち込み」)が加わるとなお面白くなりそうな曲を選び、音源を事前に作成した。
自分たちにとっては、大きなホールでの演奏や、お客様を前にしての演奏は、(もちろん緊張感もあるが、)それによってよい意味で演奏の質が高められることを長年の経験で知っている。
こじんまりとした部屋で、無観客であり、しかも録画カメラや録音機材に囲まれて演奏するとなると、意識がいろいろなことに向かってしまい、コンサートの時のような心理状態を迎えることは難しい。
それでも、いろいろと模索した上での面白い試みになったと思う。
このあとに、録音の整音や、録画テイクの編集など、映像化するための作業をしなければならない。
今までのライヴ・コンサートやCD作りのためのレコーディングとは異なる制作過程を経なければならない。
そうして出来上がってくる映像を、今度は鑑賞者として見てみて、そこで感じられること、気づいたことを意識しながら、また来月に続きを行うことにしている。
こうした試みも、今回の「騒動」がきっかけを作ってくれたものだ……と思うことにしたいと思う。
(光裕)
一冊の本
昨年の秋に、この通信で、「執筆を分担して、一冊の本を作っていくことになりました。」とお伝えしたかと思います。
編集者であり、出版社の立ち上げもされたかたから、このたび、関心をもっていただき、「出版企画提案書」が届きました。
2月28日には、第1回めのミーティングが予定されています。
音楽家であり、文筆家でもあるかたといえば、どのようなかたが思い浮かぶでしょうか?
たとえば、作曲家でありつつ、雑誌「アサヒグラフ」に1842回もの長きにわたりエッセイを連載した團伊玖磨さん。
書籍化された『パイプのけむり』シリーズは、『まだパイプのけむり』,『まだまだパイプのけむり』,『なおパイプのけむり』,『なおなおパイプのけむり』,『なおかつパイプのけむり』,『またしてパイプのけむり』等々、タイトルもさすが。
辛辣ながら、スケールの大きな團さんらしい文章でした。
また、その團さんが、自宅を提供したという、武満徹さんも、作曲家であるとともに、『音、沈黙と測りあえるほどに』,『樹の鏡、草原の鏡』等の著作をのこしました。
音楽もそうであったように、武満さんの宇宙が感じられる表現活動でした。
いまもご活躍されている音楽家では、たとえば、ピアニストの高橋悠治さんや青柳いづみこさん。
とくに、高橋悠治さんが1980年から発行した月刊「水牛通信」は、編集者の津野海太郎さんもメンバーとなって制作され、ユニークな発信をなさっていました。
これまで私どもは、新聞社や雑誌社から原稿を依頼されて書いたことはありますが、本といえばリトルプレス『musamusa』を制作したことがあるのみ。
今回ご提案いただいた出版は、はてさて、どうなりますか、どきどきしているところです。
(聡子)
もっと身近に
とある山ですが、子供の頃にスキーをしに行った場所。大人になってからは年に数回星を見に行くくらいである意味遠くの特別な場所でした。
そこを運営してる方に出会い話をしたところ、冬のシーズンではない時の有効利用をしたいと。
実際車で行けばさほど時間のかからないところですが、先入観というか遠いところだと思われている場所を身近な場所にしたいとのことでした。
子供の時の思い出もあるせいかそれがとても嬉しくなり、実現するのが楽しみです。
(雅裕)
事務局より
次号で、「Happy Toco S Club」の新しいご案内ができるかと思います。
ますますHappy Tocoをよろしくお願いします。
(みきねえ)